水曜日


がらんどうの新しい部屋に荷物を詰め込んで洗濯物のにおいがしてきた時「この部屋にあと何年住むんだろう」とはっとして、ビジョンのなさ、同じような明日がもしかしたらこの先何年も続くこととか考えたら何の気なしにTwitterとLINEのアプリを消して、誰もいない部屋も青白く光る照明も冷蔵庫の音も、ベランダから見える幽霊みたいにぼうっと聳え立つゴミ処理場の白い煙突も、私を淀ませる全ての怪物からこれから先ずうっと逃げていかなきゃいけないよってニヤつくから汚い言葉をおまじないみたいにして頭の中で繰り返した。汚い言葉を忘れる瞬間だけをずっと待っている。
喉奥に砂時計が詰まってて、その中を重い砂が行ったり来たりしてるんだと思う、上が楽しさとか幸福とかで下がつらさとか嫌悪とか執着とかで、この砂時計がひっくり返る瞬間だけをいつも待ってるんだけど、ひっくり返った瞬間から砂は落ちてくから、だいたい3日もすれば身体が重くて歩けない。あんまり重いから粉粉にしちゃいたいけど案外頑丈だから壊れない。
やついフェスで峯田が歌った新曲がBABYBABYのアンサーソングみたいのだったんだけどはっきり「バッドエンド」と歌っていて、BABYBABYがバッドエンドだって事にはいつも気が付かなかったけどあんまりはっきりさせるもんだから畜生と思った。
怪物から逃げきるのがいつも難しくって自分が間違ってるのだけはっきりわかる。淀んでくそれが肯定されて軽くなる瞬間だけをいつもはっきり待っていてバカだけど、でもひっくり返し方をすっかり忘れてしまって自分じゃもうひっくり返せないから、じゃあもう全部いいや。