東京の空を見上げる


やっぱり東京が好きだ。
予備校の先生が、今考えると別段尊敬出来るような人ではないなと思うんだけど、なんにも考えてこなかった自分には東京のアートディレクターというだけで人生ひっくり返るくらいの衝撃で、腹立たしいけど存分に影響を受けた。先生はサニーデイ・サービスが好きだった。東京への変な執着と羨望で真似して聴いて大学生になってライブに行こうと思って予備校の先輩と行ったのがやっつん主催のイベントで、サニーデイはもちろんだけど、その日出ていたandymoriやっつんも一瞬で大好きになった。

お笑いのライブにバンバン行くようになり、あいまにやっつんのDJイベントにもちょいちょい行くようになって、ももクロでアイドルも好きになって、やついフェスが出来てこんな天国ほかにないなってくらい毎年楽しく、今年も行ってきて、今年が1番楽しかった。
今年は2日目に渡っての開催で、例年より色々観れたのもあり、なんでやっつんのイベントがこうも多幸感があり琴線にビシバシ響くのか、それを実感する瞬間に何度も出会えた。
渋さ知らズオーケストラのパフォーマンスとそれに熱狂するエビ中ファンという光景がこのフェスを象徴するかのようだった。
最後に指揮者である不破大輔が、始終全力で盛り上げたオーディエンスに「一緒にコンサートを作ってくれてありがとう」と何度も何度も何度も言った。もうこれが答えだと思ったし、私はやっつんのイベントのこういうとこがきっとずっと好きだなあ。
エビ中のライブを袖で観てたちゅうえいが引っ張り出されて歓声を浴びる姿もかっこよかった。それと対照的にその日出番も無いのにお笑いステージの楽屋(客席から結構見える)でデレッデレの顔でエビ中に声をかける職権乱用しまくりの鬼ヶ島野田氏(私はこれを後世まで語り継ぎます)。
O-EASTに響き渡るゴッホピカソに捧げる歌の大合唱とダイブする永野さんとか、唇に血が滲む小宮とか、全部ちょっといつもとは違うイレギュラーな楽しさでそういう非日常って、芸人のこともアイドルのこともミュージシャンのことも月並みだけどみんなのことが大好きだと思えるとても多幸感溢れる楽しい楽しいお祭りなのでみんな来たらいいです。峯田が「カオスってきれいだね」って歌うように、好きなものが交錯する瞬間って最高に美しいし東京だなって思う、パチンコ屋の爆音みたいなコンクリートの上にぶちまけられたガソリンみたいな日高屋の床のヌルついた光みたいな虹色の美しさをいつまでも信じたい。
一昨年だかにハマカーンの後の出番だったandymoriの小山田君が「ハマカーンおもしろいなあ」って言ってくれたのが忘れらんないしきっとこれからも忘れらんないんだろうな。

それはそうと才能が無かったから今月で家を出る、今日こそはって思わないとどうにもやってらんないので古いマンションの窓から見上げる東京のあれが今よりちょっとでも輪郭がハッキリしたものであればいいしちょっとでも笑ってくれたらいいし、どんなにみじめでももういいや。ノイジーな今があるならみじめさを与えてくれた先生はつまんないけど恩師だと思うんだ。